先生の家には何回か来たことがあるはずなのに、初めて来たみたいに心臓が波打つ
いつものソファー
いつものテーブル
いつものテレビ
何も変わってないのに、私はなぜかキョロキョロしてしまう
そんな私を見ながら、先生は笑っていた
「なんならシャワー浴びてもいいぞ?」
「…結構です」
先生の冗談を流すのも一苦労
私どうしちゃったんだろ…
「ごめんな?家に食料ほとんどなくてさ…」
先生が運んできたのは炒飯だった
「いいよ。てか、先生の料理って初めてかも…」
いつもどこかで食べるか、コンビニで買うかだったから
先生の手作りなんて初めてだった
「あれ?そうだっけ?まあ、オレもこんくらいは出来るよ」
先生は自慢げに鼻を鳴らす
初めての先生の料理は、少しだけしょっぱかった