「だから、優しい先生に甘えたくなった。大丈夫だよって言って欲しかったの…」


美佳の涙が膝に落ちた


私はすごく胸が苦しくなった



美佳みたいに可愛くて、素直で、優しい子になりたいと思っていた



中学時代も、今もキラキラしてて憧れだった



なのに、私はそんな美佳からいろんなモノをなくさせてしまった



「先生に甘えたら、すごく楽になった。と同時にもっと、もっとって…。どんどん先生に近づきたくなっていったんだ」



「美佳…」



「先生は大人だし、私なんか相手にしてくれないってわかってたよ。でも、寂しくなった夜に思い出すのは…先生の笑顔だったんだ」



美佳はへへへと笑って、鼻をすすった




「南に…全部もってかれちゃったけどね」






私の中で、ガラスが割れたような音がした






「美佳…あの…」


「南はずるいよ…。全部もってくんだもん…。私…どうし…た…ら…ひっく……」




美佳



違う




私が必要なのは先生だけだよ





全部なんか要らない



美佳





泣かないで