冷たい風が頬に当たる
ほてった頬がひんやりと冷える
「…私ね、田崎先生に惹かれてたの。こんなこと、南に言うの変なんだけどね…」
「全然変じゃないよ。もっと…もっと話して」
私は美佳のほうに体を向けた
寒くてなのか、緊張なのかわからないけど、とにかく震えがとまらなかった
「…フラれたばっかの私を、田崎先生は優しく慰めてくれたんだ。もう一度ちゃんと話し合えって。だけど、私怖かったんだ。陵也と向き合うのが」
美佳はひとつひとつ丁寧に話す
いつものように人懐っこい笑顔ではなくて、真剣に、真面目に話してくれている
「怖かったのは、先生のことがスキだって陵也に気づかれたくなかったから?」
私の質問に美佳は首を横に振った
「…陵也の口から、南のこと聞くのが怖かったの。私をキライになったって言われるのが……」
美佳の頬には次々と涙が伝う
私は黙って話を聞くことしか出来ない