「…もしもし?」


声が震えた


この向こうに南がいる


そう思うだけで涙がでそうになった


『あ…。先生…起きてた?』


「ああ…。南は?」



なんかぎこちないよな…


明らかに付き合ってる彼氏と彼女の会話じゃない



お互いの様子を伺うようなことしか言えない



『先生…。私…間違ってた』


先に動いたのは南だった



「ん?」


『先生の話も聞かないで、帰っちゃってごめん。先生にも何か理由があったんだよね?』


優しいオレの彼女は決してオレを責めない



「ああ…。理由はちゃんとある。だからちゃんと聞いてほしいんだ」



携帯を握る手が汗をかいていた