「今のは気にしないで。そろそろ終わりにしようか、鷹野くんも来てるみたいだし」
そう言われ扉の方を見ると、弘人くんが突っ立っていた。
“何か弘人くんと慧くんの間に火花が散ってるような?”
そう思っていると、弘人くんに手を引っ張られた。
「帰るぞ」
そう言い、強引に手を引っ張られながら学校を出た。
「ちょ、弘人くん痛いよ」
「あ、すまねぇ」
弘人くんはパッと手を離す。
「怒ってるの?」
「別に怒ってねぇよっ」
「嘘っ」
そう言うと弘人くんは、言葉を詰まらせた。
「悪い」
そう言った弘人くんは、私を抱き締めてきた。
「どうしたの?」
私がそう聞くと、弘人くんはこう答えた。
「お前をアイツに取られそうで恐いんだ」
“アイツ”と言うのは、慧くんのことだろうか。
「大丈夫だよ。私は弘人くんから離れないから。だから弘人くんも私を離さないでね?」
そう言い弘人くんの腰に手を回し、私は弘人くんを強く抱き締めた。
弘人くんは“ああ”と答えると、キスしてこようとするので私は焦った。
「ちょっと待って。誰かに見られたら」
「別にいい。見たい奴には見させておけ……」
そう言うと、弘人くんは私の唇にそっと口付けた。