アイツと居ると、調子が狂う。
むしゃくしゃしてた俺は、1人ゲーセンでドラムを叩いていた。
「お兄ちゃん、荒れてるねぇ〜」
そこに知らない老人が話しかけてきた。
俺は取りあえず無視を決め込む。
暫く経ってもずっと顔見してくるから、俺はじいさんを睨み付けてやった。
「ほほほ、威勢がいいなぁ。どれ、私が悩みを聞いてやろう」
「はっ?」
「話してみろ。どうせ相談する相手も居らんのだろう?」
図星をさされて、言葉が詰まる。
「アイツが居ると調子が狂うんだ。何かもやもやするっていうか」
「ほほ、それはその相手の事が好きなんじゃろうな」
「はっ、別に俺はっ」
「維持をはらんでもよいっ」
家へ帰った後も、さっきのじいさんが言ってた事が頭に浮かんでいた。
“それはその相手の事が好きなんじゃろうな”
“維持をはらんでもよいっ”
「まさかな?ありえねぇ」
胸にモヤモヤを抱えたまま、その日は寝た。
次の日になって、俺はアイツを避けていた。