「桜の花…」

「ユキはこの花を未来ちゃんに届けたかったんじゃないかな…?」


あたしはその花を取った。

春休みにユキと一緒に見た花…

ずいぶんしおれていたけど、確かにそれは…

桜の花…


「一生懸命探したんだろうね…こんな寒いのに桜の花なんて…」

「ユキ…」

「きっとその桜の花はユキからの誕生日プレゼントなんだよ。ユキは未来ちゃんを喜ばせたかったんだよ…」


あたしは桜の花を優しく両手で包んだ。

目を閉じるとあたたかい涙が頬につたう。