「俺、ほんとは高校なんて行く気なかったんだ。ほら、裏口入学だしさ。親が決めた通りにしたくなかった。」

「でもその子の悲しそうな顔を見て思ったんだ。この人を守ってあげたい、この人のことをもっと知りたいって…」

「誰…?」

「今、俺の隣で泣いてる人。」

「あたし?」


多岐君はにっと笑う。


「やっと気づいた~おせぇよ。」

「ごめん…」


あたしはいつの間にか止まった涙を拭きながら言った。

自分のことだと分かると少し恥ずかしくなる。