人ごみの中、やっと先頭に出ることができた。


「516…516…」


あたしは受験票を握り締めて何度もつぶやく。


「516…51…あ、あった!恵美ちゃんあったよ!」

「……」

「恵美ちゃん?もしかして…なかったの…?」


恵美ちゃんは首を振った。


「怖くて…まだ見てない…」


恵美ちゃんはまぶたをしわしわにして目を閉じていた。