「ケンゴ…っ、悪い冗談なんて、らしくないよぉ…っ」



「でもな。信じてくれ。最初は誘拐しようとしてた。でも、でも…。お前がお前の親父を思って泣く姿を見て、小さかったころの俺に重なった。それからほっとけなくなったんだ」



「だって、悪い人は…っ、ホントに悪い人はあたしみたいな〝悪い子〟のことなんか心配しない!」


「……ごめんな。」




「何泣いてんだよ、演技演技。」



そう言ってほしかったのに。


あなたの口から出た言葉は「ごめん」だった。



ごめん、なんて認めてるようなものじゃん。



やめて、やめてよ…っ。