ケンゴは「そっか」と言って、それ以上は何も聞かず、

私の頭に大きくてごつごつした手を置いた。



〝麻子も敦も、大きくなったな〟


パパが笑っている。

ママとお兄ちゃんも笑ってた。

もちろん私も笑ってた。



パパという家の明かりが消えた今。


お兄ちゃんの笑顔も、ママの笑顔も、


そして、私の笑顔も消えてしまった。







「パパぁ…っ」



小さな子供みたいに泣き出した私に、あわてながら
くしゃくしゃのハンカチを差し出すケンゴ。


「おまっ、お前からいいだしたんだからな!」


ちょっと焦っているが優しい声。