「ギター弾いてたから、てっきり弾き語りかと思ったよ」



知らない奴は、わたしの口がきけないことについて何も聞いてこなかった。



「はいっ!!これ手帳とペン。君の名前と歳とーあと住所も書いて」



知らない奴は「住所知らなきゃ送れないしね」と言って笑った。



コクン…



「俺の名前は西条恭介。歳は24だ。住所はー」



バッ



わたしは手帳を西条という男の顔の前に出した。


「住所までは聞いてないわな」と言って、また笑っていた。



「………仲リン、18歳、住所はーここの2丁目んとこか」



コクン…



「よろしく、リン。俺のことは恭介でいいから」



『………』



変な奴に捕まってしまったらしい。