「…行くぞ」

不意に横から聞こえた声。
と同時に掴まれた腕。


「へ?何で?」

「バカか、お前。説明してやんだよ」

「…あ!佐山って人に聞かなきゃ……って、もしかして」

「俺」


壱の苗字知らなかった…
佐山 壱だったんだ


いや、式の前に先生が呼んでたよーな…



「ほら、早くしろ」

私の腕をグイグイ引っ張って廊下を歩いてく。


そんな引っ張んなくてもついてくから、離してよ!

と言いたかったけど、名前を知らなかったという失礼極まりない事をしてしまった手前、何も言えず、大人しく従った。




着いた先は…


「…生徒会室?」


扉には"生徒会役員以外立入禁止"の文字。


「あぁ、入れ」


「…ムリでしょ?」

生徒会役員でもないんだし…


「俺がいいっつってんだから良いんだよ」


そう言い、扉を開けて私の背中を押し込んだ。


.