その言葉を聞いて安心したあたしはその場に座り込んだ。


「風ねぇ!!」「風!!」

友里さんと友華が病室に入ってきたときお姉ちゃんは苦笑いで『はぉ』と言った。


「『はぉ』じゃないでしょう!!
 風何にも言わないんだもん。
 鈴から電話がかかってきたとき何事かと思ったわよ。」

友里さんが怒った・・・・・・

友里さんはあたしたちの母親代わりだとあたしとお姉ちゃんは思っている。

友華と同じように接してくれるし家に来るときなんかチャイム鳴らさない。


「ごめんなさい~
 怒られるかな・・・って思ったから。
 父親いないし・・・・・・」

「馬鹿っ
 怒るけど!!
 ・・・・・・言ってほしかったな。」

友里さんが寂しそうに言った。

あたしと友華は横で2人のやり取りを見ている。


「痛っ・・・・・・」

お姉ちゃんの陣痛が始まったみたい。

友里さんはあたしと友華に『タオルを持ってこい』といいながらお姉ちゃんの背中を擦っている。

あたしと友華が持って来たタオルでお姉ちゃんの汗を拭いた。


「ね・・・友里さ・・・・・・1番に子供抱いて・・・・くれる・・?」



陣痛の間隔が5分になったお姉ちゃんはタンカで別のところに運ばれた。

あたしたちは外で待ってなくちゃいけない。


心配だったけど友里さんが大丈夫だって言ってくれるから大丈夫だと思った。

でもそのときの友里さんの声が震えてたのも気付いた。


「鈴・・・
 私が1番に抱いていいの?」

友里さん泣いてる・・・


「もちろん!!!」

あたしが『お願いします』と言ったとき友里さんは泣いていた。