「ただいまぁ」

あたしが帰ってきて2時間後にお姉ちゃんが帰ってきた。

出産予定日を3週間後に控えたお姉ちゃんだけど全然緊張感なし。


「出歩いていいの!?」

というあたしの問いかけにも『平気』の一言。

あたしは出産なんて経験したことなかったからお姉ちゃんの『平気』という言葉をを信じていた。


今まで検査などでも順調だったらしくあたしが心配するようなことはなかった。


「ねぇ・・・鈴」

あたしがお姉ちゃんとご飯を準備していたときに青ざめた顔であたしを呼ぶ。

あたしは慌てて駆け寄った。


「お腹・・痛っ・・・・・・
 り・・・病院・・・・・・電話っっ」

お姉ちゃんの言う通りにかかりつけの産婦人科に電話をした。

担当の界先生に『念のため病院につれてきてください。』と言われた。

でも運転できる人はいないしあたしには担げない。

急いで友華の家に電話をしたら友華のお母さん友里さんが車ですぐに来てくれた。


3人でお姉ちゃんを車に乗せ病院に連れて行った。

入り口ではタンカと看護婦さんが待っていてすぐ診察室らしきところに運ばれた。


しばらく待合室で待っていると界先生が出てきた。

友里さんと友華も一緒に居てくれたから心強かった。


「お姉さんは今107号室にいます。
 お姉さん予定日より早いですが・・・」

その後の言葉は聞いてない。

お姉ちゃんのいる病室に駆け込んだ。

そこにはさっきより落ち着いた感じのお姉ちゃんがいた。


「赤ちゃんは・・・?」

先生の話を聞かなかったあたしはお姉ちゃんに聞く。


「大丈夫だよ。
 今日・・・いや明日になるかな。
 生まれるって」