「悠ちゃんっ、早かったねっ」

「ああ」

「えっ?!悠汰?!」

そこに居たのは、紛れもなく違う人。
でも感じや、声は悠汰にそっくりだ。

「そうだけど」

「嘘っ!」

私は近くで悠汰の顔を見る。

「余り近付かないでほしい」

「あ、ごめんっ!でもホントに裕太なんだっ!眼鏡取ったとこ久々に見たから分からなかった」

「そうか?……取りあえず練習始めるかっ!」


悠汰がそう言うと1人1人が持ち場に着き、ドラムの音と共に、ギター、ベース、歌声へとハーモニーが重なっていった。


それはそれは綺麗な音色で、何とも言えないぐらいかっこよくて、私はいつの間にか見とれていた。


皆が光って見える、私はそう思った。


何曲かが終わった時、私は立って拍手をおくっていた。


「凄い凄い、凄いよ、皆っ!」

「ありがとう」

悠汰は控えめに。

「やっぱり人が居ると、遣り甲斐があるなっ」

涼さんは嬉しそうに。

「そうだね〜」

そして櫂くんも嬉しそうに言った。

玲くんはと云うと、どうでもいいみたいな顔をしていた。