最初のワンコーラスは、まだちょっぴり恥ずかしさもあって、声の調子が変だったけど、少しずつ、歌う事の気持ち良さで、声が出るようになった。

 隣でレナが一緒に口ずさんでくれている。

 いや、彼女だけではなかった。

 いつの間にか、全員が僕の歌に合わせて口ずさんでいる。

 歌い終えたら、ビックリする位の拍手と歓声が僕を包んだ。

 気が付いたら周りの他の家族やグループが、僕らの周囲に集まっていたのだ。

「ブラボー!」

 米兵が口笛を吹き、親指を立て、ウインクをしてくれている。

 僕は、こんなに拍手や歓声を受けたのは初めてだったから、すっかり有頂天になっていた。

 気を良くした僕は、図々しくもT・Jに、

「ねえ、今度はT・Jが歌ってよ」

 と言った。