「忘れたなんて言わせねぇぞ?」

「だから、なんのこ「言っただろ!」

「え・・・。貴琳?」

「今日の朝に、泣きたい時はオレに言えって言っただろ!?」

「そりゃ、言われたけど・・・」

「だったらなんで!こんなとこで1人で泣いたりしてんだよ!!」

「そ、そんなこと言われても・・・。」

「だいたいお前なんで泣いてんだよ。」

「えっ・・・。それは─────」

「・・・辰雅か?また辰雅のことで泣いてんのかよ。」

「そっ、そんなことないよ!」

「嘘つくんじゃねぇ!!」

「嘘なんか!・・・嘘なんかついてないもん。」

「じゃぁなんで、1回とまった涙がまた流れてんだよ。」

「そ、それは・・・。」

「忘れろって言ったじゃねぇか。辰雅のことなんて忘れろって。」

「・・・貴琳に、貴琳にはあたしの気持ちなんか分かんないもん!!
大好きな人に好きになってもらえない悲しさなんか!
諦めらんない辛さなんか分かるわけない!!」

「分かるよ。」

「へ?」

「分かるよ。オレだって、好きなやつに振り向いてもらえないし。
いつも笑ってるくせにたまに騒いだりすッげー泣いたりするとこ見て、
諦めらんない自分に、守ってやれない自分の弱さに
すっげー喪失感とかが襲って来るんだよ。」


・・・オレこいつになに言っちゃってんだろ。
ばかみてぇだな。
こいつに言っても、きっと自分のことだって気づかないのに。
こんなことこいつに言っても無駄なだけなのに。


「わるい。お前にこんなこと言ってもしょうがねぇよな。」

「貴琳。大丈夫だよ。貴琳ならきっと幸せになれるから。」

「オレが大丈夫でもお前は大丈夫じゃねぇだろ。」

「え?なに言ってんの?」

「お前、まだな泣いてんじゃん。」

「そっ、そんなわけない──────。」