「揺亜ぁ・・・。稜、返事して、くれなかったよぉ・・・。」

「綾姫。泣いていいんだよ。冬休み前みたいに、我慢しなくていいんだよ。」

「・・・ううん。揺亜の前では泣けないよ。
揺亜のことが大好きだから、揺亜の前では泣かないよ。」

「でもっ・・・。」

「大丈夫!あたしなら平気だから!!揺亜は明日のこと考えてなさいっ。」

「綾姫。・・・わかった!じゃ、また明日ね♪」

「うん!バイバイ☆」



「・・・返事くらいは、してほしかったなァ。」


ヤバッ・・・。
貴琳だ。
こんな、今にも泣きそうな顔、見せたくないよ・・・。
隠れなきゃっ。
でも、どこに隠れれば・・・。
あっ。あの木の陰にしよう!    サササッ
ふぅ。これでばれないはず!

ポロッ ポロポロポロポロ

えっ。なにこれ・・・。
あたし泣いてんの?
ありえないって。
だって、全然悲しくなんか無いのに・・・。

「ッヒック・・うぅぅ・・・」


なんだ?
なんか声が聞こえるけど・・・。
あれ?あの木の陰にいるのって─────


「綾姫!」

「えっ、あ、貴琳・・・。」

「おまえ、こんなとこでなにやって・・・。」

「泣いてんのか?」

「えっ?そんなわけ無いじゃん!なに言ってんの貴琳ってば。」

「じゃぁ、その涙は何なんだよ。」

「へ?こ、これは・・・。ごみ!
ごみが目に入って、それで泣いてただけだよ!!」

「・・・嘘つくなよ。」

「嘘なんてついてないよ!ホントだって!!」

「お前オレが言ったこと忘れたのかよ?」

「え?なんのこと・・・。」