「あの無口なトコとか、クールなトコとか、
だけどさりげない優しさがあるとか、友達思いなトコとかっ。
すごくいいじゃんっっ!」
………………。
無口なのは話を半分くらい聞き流してるからだし、
クールなのはただ眠くて無表情なだけだし、
優しいなんて聞いたことも無い。
友達思いなのは……利害が一致した時だけ?
あんまりいい所無いよ、ね?
まあでも、莉那にここまで好かれてるなら、
雅輝のあの変に冷めた性格も直るかもしれないし、
協力しましょうか。
「そう。そこまで莉那が雅輝のこと好きなら、わたしも協力してあげる。
ハチマキくらい取って来れるだろうし」
「ホント!?」
莉那の顔がパッと明るくなった。
――恋する乙女は可愛いねぇ。
なんて、他人事のように感じたわたしだった。