美果は夢子と渋谷の南口の
喫茶店へ入って行った。

衛が、美果を連れて
よく来る
賓のいい店だ!

夢子もガラス張りで
渋谷の駅が見渡せる
この店が気に入ったようだ。

思わず!夢子は

「どうして、こんな
 
お店知ったの?」

美果はうつむいて
さみしく

「衛が、教えて

くれたの!」

そんな美果の顔を
みて夢子は

「なにか!

衛君とあったの?」

美果は馬事公苑のこと
そして昨日の夜のこと
を夢子に話した。

夢子は恋心など
一度も経験した事が
ない。

だから
美果へのアドバイスなど
出来るわけが無い。

無責任な助言で美果を
傷つける事があっては
ならない。

でも、これだけは
判った!

<衛は、無理に美果と

別れ様としていることを>

しかし、目の前の美果は
傷心している。

美果の気持ちをほぐす為
夢子は冗談で

「ヒョトとして、衛君が

この店に居るかと思って

来たのかな?」

美果は、少し微笑んで

「そうだと、いいけど」

すると、店の隅の方で
美果に手をふる男に
気付いた。

「あっ!鈴木君だ」

その言葉に夢子が
大きく反応して
振り向いた。