撮影中の桃香は
カメラマンの要求に応じて
ポーズを撮っていた。

「桃ちゃん、左見て

そう!綺麗だよ」

「今度は、正面みて

笑って!」

そんなカメラマンの要求に
桃香は、嫌な顔もしないで
仕事を淡々とこなしていた。

桃香が正面を見た時
衛と美果が見えた。

<私に気付いたんだ?>

二人がこちらを見ている
姿を見た。

しかし二人が、こちらに
来ないで、あの有名な
マリーナのレストランへ
向かっている。

桃香は多分自分に迷惑を
かけないつもりの
行動だと思った。

衛とは、幼馴染すぐに
衛の気遣いを悟った。

「桃ちゃん!今日の撮影
 
これで終了だよ。」

カメラマンの声で
桃香の今日の仕事が
終わった。

桃香はすぐにマネージャーを
呼び寄せ

「マリーナのお店で

お茶しようよ?」

マネージャーは困った顔で

「桃香さん!あの店は

有名で予約制ですし、まして

今日は日曜ですから

無理ですよ?」

桃香はあの二人と一緒に
話をしたかった。

桃香のしょげた顔を見ていた
カメラマンの助手が

「桃香さん!あのお店は

よく撮影で使わせてもらっています

先生なら支配人と懇意にしていますから

私が、先生に聞いてもらいますから

少し待ってください」

そう言ってカメラマンの助手は
先生の方向に向かって行った。