部活を終えて教室に戻ると

あの明るい声が聞こえた

「衛!今日悪かったね!」

と言って美果が教室に
入って来た。

そして美果は衛の傍に
やって来ていきなり

「ね・・・臭くない」

と手を衛の顔に

近づけてきた。

「別に臭くないよ」

と衛が答えると今度は
顔を近づけて来て

「この辺大丈夫

 ・・・臭くない」

衛はびっくりして
息を止めた。

こんなに近くに女の子
に近づかれてびっくり
しない男はいないはず。

回りも目を
そむけるような
仕草をした。

衛はテレを隠すように

「なんでだよ!」

 と美果に言った

「馬のにおいがしないか

心配だから、衛に確かめて

もらいたかったんだ!」

と衛の気も考えず
言いのけた。

美果のにおいは
シャンプーの香りがし
傍いるだけで
気持ちが良かった。

今日の朝、ほんの30分
会っただけなのに妙に
馴れ馴れしく
衛に接してくる。

美果は髪の毛は
肩に掛かるほどの
長さで
小悪魔の感じだ。

皆な言葉には
出さないが
男子には人気がある。

そんな彼女が傍に
居ることは衛は
優越感を感じていた。

「今日、お弁当!

 衛どうするの?」

「俺、昨日友達の家に行って

 そのまま学校へ来たからないよ」

「私も朝の当番のとき、朝早くて

 ママに悪いから弁当

 もって来ないんだ」

「お昼、私、おごるから

 大学の食堂へ行こうよ」

衛はうれしかった。

しかし美果には、先輩の彼氏が

いるのを知っていた。

まもるは!

「いいよ、小杉先輩に悪いから」

 と断った。