「2千万円です」

「2千万円ですか!」

「渡航費用は含まれて

 おりません」

「判りました妻と相談して

返事をさせて頂きます。」

千裟の父忠雄は家に帰り
妻の順子に会社で会った
望月の話をした。

「どうしようかな」

「この方、どんな方ですか?」

順子は不安げに問う。

「50歳半ばの賓いい女性だけど」

「そうでは、なくて!どんな組織で

信用できるかです」

「そうだな、しかし専務の紹介だから

 ある程度信用出来るはずだよ」

「もう少し、調べた方がいいですよ」

「明日、名刺の場所へ行ってみるよ」

会社を終えて、名刺の場所へ向かった
忠雄だが、事務所が判らなくなり
名刺の電話番号を見て電話をかけた。

「はい、日中フォーラムです」

女性の声が聞こえてきた。

「わたくし、曽根と申しますが
 
 望月さんをお願い、します。」

「私です、曽根さん!」

「昨日は、態々来社して頂き

  有難うございます」

「ご丁寧に有難うございます」

「実は、望月さんの事務所の

近くに来ているのですが

場所が見当たらなくて

電話をした次第です。」

望月は、少し慌てた感じで!

「今、どちらにお出でですか?」

「霞ヶ関ビルの近くです。」

「すぐに!お迎えに行きますから

前の通りを渡った右側にランと言う

喫茶店がありますから、そちらで

お待ちください」