衛は祖母に電話をして
旅館の予約を取って
もらった。

箱根の旅館は、どの旅館も
超一流である。

旅館の前で、荘厳な建物に
夢子と美果はおどろいた。

旅館に入ると女中さんが
出てきて応対する。

「成城の円藤ですが！」

衛が告げると、祖母からの
連絡で報告を受けていた
出迎えの女中が

「女将さん、円藤さんが

いらっしゃいました。」

衛の祖母が上客らしく
女将が直々に出迎えた。

「円藤さんの坊ちゃん

衛くんですね

お久しぶり、大きくなられて！」

中学生までは祖母のお供で
この旅館にはよく来ていた。

部活や学校の行事で
ここに来るのは５年振りだ。

「突然、すいません

予約もなく」

土曜日の稼ぎ時突然の
来訪！
空き部屋なんかない事を
衛は知っていた為の一言。

「いいんですよ？

私どもの旅館は、突然の

お馴染み様のご訪問の為

必ず、部屋を空けて置くんですから」

一流の作法に３人は、感銘した。

中庭があり部屋の外側に
露天風呂のある高そうな
部屋に３人が通された。

「温泉で、美果！その傷

直せばいいから、今日は

夢子さんと、ここで

ゆっくりして」

「衛も、一緒じゃないの」

美果が・・不満な顔

「ちょっと、用事があるから

今夜は、親友の夢子さんと

ここにいてよ、明日、迎えに

来るから」