「昨夜、千裟のお見舞いへ  

    行って来たの」

「痩せていただろう?」

「そう!元気なかったよ」

「そうなんだ、なんか判らないけど

 余り眠れないそうだよ」

「原因の1つ、私、知ってる!」

「美果だよ。衛とのこと勘付いているよ」

「うそ!どうして?」

「ネックレス、美果と同じもの

 あげたでしょう」

「そうか!かずちゃん

 何も言わないから」

「千裟の性格知ってるでしょう」
 
「うん!思い当たる事あるよ。」

衛は、夏の暑い日に
東京タワーへ行きたいと
急に言い出したことや最近の千裟の態度や
言動を思い出していた。

「俺が悪いんだよ。」

「どうするの!美果との事」

衛を責めるように桃香が言った。

「今は、かずちゃんの事が

 一番大事に思ってるんだ」

「それって!同情じゃないの

 本当に千裟のこと愛してる?」

「桃ちゃん!いじめないでよ」

そう言って衛は即答を避けた。
確かに、病気の千裟が元気なら?

「桃ちゃん、俺、美果の事忘れる為

お酒飲んだんだよ!でも・・」

「でも・・どうしたの?」

「酔ってて!判らないけど美果に

助けを求めたような気がするんだ」

「なんで!そんな事するの!

 美果の事、忘れられない訳?」

「そうなんだ!どうしよう?

    桃ちゃん?」

「衛、だめだよ。はっきり

 しないと!両方傷つけるよ」

「だから、美果と距離をおけば

時間が解決してくれると思って

俺も苦しいんだ。」