聞き取れないほどの声で何かを呟いた彼。


よく分からず首を傾げた。


「体育館はこちらですよ」


どうやら案内をしてくれるみたいだ。
助かった━━━。



着いた先は中庭みたいなところ。

???


ココ…どう見ても体育館には見えないんですが…気のせいでしょうか?


チラリと隣の彼を見上げる。


「体育館にはちゃんと案内してやるよ、先にお礼をくれたら」


いまさっきの彼とは 180度変わった態度。


はぃ…?


てか…いまさっきの優しそうな雰囲気はどこにいった?


ボケーッと見上げていると首筋にちょっとした痛みを感じた。


「…ッ」


妖しい笑顔を浮かべる彼。


パッと見回しても何も見受けられない。


「首筋見てみろよ」


ポケットから手鏡を取り出して言われたとおり首筋を映し出して見る。


「なっ━━━!!!!」


赤い跡がついている。


き…キスマークつけられた!!


これから入学式だってのに…!


慌てているあたしを見てクスクスと笑っている彼…いや、ヤツ。


誰のせいよ!