部屋に響き渡った甲高い音。


目の前の男は叩かれた頬を押さえてキョトンとした顔であたしの顔をジッと見つめている。


手がジンジンと痛む。


「何すんのよ!?」


震える手を必死で隠しながら目の前の男に言う。


「俺のこと…覚えてねぇの?」


…は?


あたしがこの変態男のことを知ってるって言いたいワケ?


眉間に皺が寄る。


「架院響(かいん ひびき)。ホントに覚えてない?琶荊魅夜(わけい みや)サン」


架院…響。


聞いたことあるような…?


んー?


「覚えてねぇのか…」


ハァー…とため息が聞こえる。


「ま、いいや。時間はたっぷりあるんだし…思い出したら言って」

そう言い響と名乗る男は部屋から出て行った。


それがあたしと響の出会いだった━━━。