「眠そうだね」


突然、話し掛けられた。
声の主の方を見てみる。


どうやらあたしの隣の席の隣らしい男だった。


可愛らしい笑顔に華があるオーラがでている。


ヤバい…女のあたしが見ても可愛い。


しかも、タイプの可愛さ。


「…どしたの? 頬、赤いけど…大丈夫?」


甘くて切なくなるような香りがしたかと思うと彼の右手があたしの頬に触れた。


「あ、うん。大丈夫…だよ」


慌てて答える。


「そんなに慌てなくてもいいよ。俺は芳宮雪斗(よしみや ゆきと) っていうんだ。よろしくな」


可愛らしい笑顔を見せながら自己紹介をしてくれて、そして右手をだしてきた。


「あたしは…」


自分も自己紹介をしなければ…と思い、言いかけて遮られた。


「琶荊魅夜ちゃんでしょ? 新入生代表挨拶のときに名前、ちゃんと聞いてるから知ってるよ」


え…。 聞いててくれたんだ…。


「ありがと、ね。 えっと…」


「雪斗って呼び捨てでいいよ? 俺も魅夜って呼び捨てで呼ぶから」


疑問に思っていたことをサラリと答えてくれた雪斗。


「ありがと、雪斗」