ふと、直樹君の視線に気付き、どうしたのかと問うと、直樹君が私の左手を指す。その指を追うと、私の左手の中指にある指輪を指されていた。
直樹君は唖然とした表情で、これは何だと小さく呟く。

「・・・これ、何」

先程よりも強い口調で問われる。

「知り合いの人に貰ったんだけど・・・」
「・・・ふうん・・・。それ、ペアリングだろう?」
「あ、ああ・・・うん」

私は、直樹君の機嫌が下がっていく意味が分からなかった。なにかあるのか、この指輪に。
・・・もし、自意識過剰発言をしていいのなら、言ってしまうが・・・。直樹君は、嫉妬してくれているのかな。それなら、嬉しい。嬉しいけど・・・、なんか違う気がしてならない。
所詮、私達は友達で。それ以上でも、それ以下でもないのだから。

「その文字の意味・・・知ってるのか?」

その文字の意味、とはなんなのか。文字は確かに指輪に彫られている。だけど、店員さんも、田中さんも文字のことには触れなかった。ペアリングだから両方に彫られているんだろう。
見れば、英文だ。だが私は、英語が苦手だからなんて書いてあるか分からない。