ここは夢の国なんだ。

現実じゃない。

この学校も偽物で、こんな美男子もいない。

いい加減覚めないかな。

頬を抓ってみよ。

ムギュー。



「いひゃーい!!にゃにふんのよッ!!(痛ーい!!何すんのよッ!!)」



お餅みたいに伸びる頬。

でも伸ばしてるのはあたしじゃない。


あの2人だッ


と言って疑いたいけど、美形2人組みは視界の中にいる。

・・・笑いながら。

ムカつくッ!!

誰がこんな事してるのよ!?

あたしは、逃がすまいと、頬を摘まんでいる手をがっちりと掴んだ。

そのまま180度回転。


・・・嘘だぁ・・・。

目の前には、またまた美形クン。

優しそうな笑顔でこっちを見つめている。

2人とは違い、今度は純日本人。

深くて暗い、だけど優しさを帯びている黒い瞳に、黒い髪。

思わず吸い込まれそうになる。



「初めまして。あ、頬痛かった?」



と言って純日本人は手を緩めてくれた。



「え!?あ、ううん、大丈夫!!」