『おい!!琴南!!』
何度、問い掛けても琴南は反応はしない。
オレは羽織っていた黒のストライプが入ったジャケットを琴南に掛けた。
そして、震える手で琴南をお姫様だっこをして急いで保健室へと走って行った。
『先生!!』
保健室へと入ると、琴南をベッドに寝かせ、息切れした声で保健の先生に事情を話した。
保健の先生は簡単な診療をすると、オレに救急車を呼ぶように指示をした。
オレは震える手で119と番号を押すと、出来事を話し救急車を要請した。
オレは恐怖と焦燥感に押し潰されそうになりながらも琴南の両親への連絡、学校への報告をした。
それから10分ほどで救急車が到着した。
救急隊員は琴南に酸素マスクを付け、タンカーにのせると、二人がかりで救急車へと運んだ。
オレはその様子をただ呆然と見ることしかできなかった。
オレは救急隊員に促されるまま、琴南に付き添い救急車に同乗した。
病院へと向かう車内でも琴南はびくともせず、心電図の『プ……プ……プ』という音のみが響いていた。
病院へと到着するなり、医師や看護師たちが玄関で待ち受けていた。
そして、救急隊員と共に琴南が乗ったタンカーを押して救急治療室へと入っていった。