なんか、この頃オレのクラスの様子が変だ。



教室内の空気が妙に殺気立っているというか……。



そういえば、クラスの琴南実紅がまだ来てないな……。



琴南は真面目な子だし風邪でもひいたのだろう。



まぁ、相変わらずやんちゃな名栗翔梧は不登校だ。



オレはこの31HR(3年1組)の担任。



だから、この空気の正体を明かそうと今、努力している。



なんなんだろう?この空気は?大学受験でみんな殺気立っているのか?



でも、今は4月。
殺気立つのは早すぎだ。



オレはHRを終えると、教室を後にし、廊下へでた。そして2階下にある職員室へと歩いた。



クラスの異様な空気について考え込んでいた矢先、オレはある光景を目の当たりにした。



『きゃぁ!!!』



『バタバタバター』



『あぁ、悪りぃ……。』



オレのクラスの琴南実紅と名栗翔梧が階段でぶつかって、琴南は勢い良く階段を転がり落ちていった。



名栗は琴南のことを見向きもせず、どこかへと消えて行った。



オレは名栗を追いかけるか琴南のもとへ行くか、迷ったが、重症そうな琴南のもとへと急いで駆け寄った。


『大丈夫か?琴南!!おい。しっかりしろ!!』



琴南はオレの問い掛けには全く答えず、仰向けでうずくまったまま、動かなかった。