当時、私が荒れてた理由はどこにでもある話だった。
毎晩ケンカをする両親。
部屋のドアを閉めていても聞こえるお母さんの泣き声や物の壊れる音。
意識の隅にちらつく“離婚”の二文字…――
本当によくある話だったんだ。
ストレスはどんどん溜まっていったし、智也は一人暮らしをしてて家にいなかった。
幼なじみの托人には恥ずかしくてそんなこと言えなかった(あとから聞いたらうすうす気づいてたとかぬかしてたけど)。
…ただ、私が他と違ったのは。
もともと短気で荒っぽい性格だったのと、腕っぷしがそこらへんの男よりも強かった、それだけ。