扉から入ってきたのは180以上身長があって、無駄に筋肉をモリモリとつけたごっつい大男だった。

いくつも耳につけたピアス、髪の毛を必要以上に盛るのに使ったワックスが鼻につく。



「ふふ、怖くて言葉もでない?でももう遅いわよ…散々バカにしてくれたわね。ケンヤ兄さん!その女、好きにしちゃって!もう二度と生意気な口がきけないように、身も心もボロボロにね!泣いて謝っても遅いわよ」



嬉しそうに顔がゆがむ。

周りの女たちもニヤニヤが止まらないらしい。

私を信じられないものを見るように、凝視する大男。



「別に泣く気も謝る気もないわよ」



強気な発言がさらにむかついたのか、その女はこう言った。



「ケンヤ兄さん、もうやっちゃって!覚悟しなさい、川中三咲!!」

「…!?おま、おまえ、なんて言った?今!」

「?もうやっちゃって…」

「違う!そのアトだ!!」



焦り始める大男。不思議な表情でソイツを見る女。そして…





「「川中三咲」」





私と女の声が重なった。