ガタン、ガタン、
   ガタン、ガタン、


「えー、次は霞ヶ原ー、霞ヶ原です」







『翠のうそつき~。絶対行こーねって言ったじゃん!』






昨日夜遅くにかかってきた電話を爆睡して取れなかったため、留守電に恨めしい綾香の声が入っていた。



朝から電車の時間を気にしてバタバタしていたので、折り返し電話がかけられなかった。

あたしはお婆ちゃんちについてからでも、ゆっくりかけなおそうと思い、取りあえず謝罪のメールを送信した。



広汰にいたっては返事も返ってこなかった…

悪いとは思ったけど、それ程真剣に誘われたわけでもなかったため、綾香とおんなじような内容のメールを送信すると広汰のことはすっかり忘れてしまっていた。








キキキー  プシュー




「はぁーやっと着いたぁ♪片道2時間はつらかったぁι」


首をコキコキ鳴らしながら電車を降りると、改札で駅員さんに切符を手渡し、すぐ近くのバス停まで歩いていった。


避暑地とはいっても梅雨明けの7月は、日差しが強くあっという間に日焼けしそうな勢いだ。

あたしは憎たらしい太陽を見上げると、被っていたキャスケットを更に深く被り直した