「あ~風呂上がりはヤッパリクーラーの効いた部屋に限るねぇ♪」









「たくやとの予定がはいってるから」







…それが唯のお婆ちゃんんちに行けない理由だった。

2コ下の妹の唯は、高校生のあたしなんかよりも色気づいてて、彼氏までいる。いっつも

「お姉ちゃん、高校生にもなってフリーはヤバいよ?」

…なんて言ってくる。 大きなお世話だ!あたさは異性より同性の友達がたくさん欲しいんだぃ!





あの後、母は「新人教育もあるしどうしても仕事が休めない」…という理由で結局あたし1人が、夏休み中お婆ちゃんちに行くことになった…。

明日からという条件だったため、旅行用のレスポのバッグに着替えなんかの荷物を詰めながら考えていた。



(お婆ちゃんのことが心配っていうのはあるけど、綾香や広汰の炎天下の誘いを断るいい理由ができたよね…)





松田 トミ は今年70才のお母さん方のお婆ちゃんだ。あたしが産まれる前にお爺ちゃんは亡くなったらしく、物心ついた時から霞ヶ原で一人暮らしをしている。



この霞ヶ原って所は有名な避暑地でもあり、8月でもクーラーなんかいらないくらいに涼しい。

だから夏になると、お盆休みを利用して毎年霞ヶ原に遊びに行っていた。



今年はお父さんもお母さんも運悪くお盆休みが重ならなかったみたいだし、唯にいたっては行く気ゼロだし…。あたし1人で行くことになる。



「まっ、たまにはいいかもね♪」



荷物を詰め終えたあたしは、ベッドにゴロンと横になりながらポケットから携帯を取り出し、早速綾香と広汰に行けなくなったことをメールした。




パタンッ


携帯を閉じると、風呂上がりの火照った体をクーラーの冷気が冷やしてくれていたので、ものすごく気持ち良くなってきた。枕を抱きしめてたあたしに今度は、強烈な眠気が襲ってきた…