「なー・・・また会えるかな?」

「え・・・?」

カキの言葉に一瞬とまどった。

あたしは・・・また逢いたい。逢ってしまったからには、また逢いたいよ。カキはどう思ってるの?

「・・・逢えるよ。絶対。というか、逢いたい!!」

必死に自分の思いを告げようと声を張る。小雨の音と車道を走る車の音に負けないように。

カキはふっと笑って、

「・・・-とな」

ちょうど車の音でかき消されてしまった。

「え?ごめん聞こえなかった!」

「んあ?なんも言ってないけど?」

嘘だっ!

「えwなんか言ったでしょー」

「言ってない」

ちょっと拗ねたふりして、ふんっとそっぽを向いてみる。

「いい子だから拗ねない!」

カキは小さい子をなだめるように、ぽんぽんっと背中を押す。

「ふーんだ。拗ねてなんかいないもん」

本当は聞こえなかった言葉の予想はだいたいついているけれど、カキの口から聞きたかった。

「まだ言うか・・・だったら!」

突然ふわっと地面から足が離れる。

「うにゃあああぁあ!?」

「はははは。よーしよしよし。だいじょうぶでちゅかー?」

「だ、大丈夫じゃないぃい!!」

この歳で抱っこなんて!

「おぉおろしてっ!!重いでしょっ」

「これぐらい平気だって。俺も男だからな」

「お・ろ・せ!変態w!!」

ぎゅーとカキの首を締め付ける。

「痛い痛い!!おろすから離せ!!」

「このアホ!」

ぺしっとカキの頭を叩いてやった。

「悪い悪い」

全然悪びれないカキ。


バカヤロー!こっちがどんだけドキドキしたか、わかってんのか!!

一矢報いようと試みようとしたとき、

「逢えて・・嬉しかった。ありがとな」

カキの温かい声が耳に入った。