好きだった。カキのことが、誰よりも。

優しくていつだって自分よりも人を優先しているその姿に、惚れてしまったのだ。

少しずつ一緒に過ごす時間が増えて、段々と共に日々を重ねて、そんなちっぽけで頼りない季節が何よりも大切だった。




でも、突然カキは姿を消してしまった。あたしたちのコートから。


何で?なんて問いさえも届かなかった。
だから忘れようとした。忘れてなかったことにしようと思った。


逢えて嬉しかった。

だけど、

このまま忘れていたかったかもしれない。