「うー開かない」

「あ?あー貸してみろ」

カキはひょいっとあたしの手からポカリを取り上げて、開けてくれる。

「すまん、ありがと」

「お前は本当力ないなー」

うぅ・・・と、うな垂れているとまたポンポンっと頭を撫でてくれた。
本当に優しい手だ。優しくて温かい。

その手に重なるように小さな水滴が空から降ってきた。

「雨!・・・」

「うお、本当だ」

「あーどうしよう・・・ごめん」

「俺は濡れても平気だってー」

「でも・・・ごめん つきあわせちゃって」

雨はまだぜんぜん小雨だけど、それでもカキに悪くて早歩きした。

「んな速く歩かなくったって大丈夫だし、急ぐと余計お前のことだから、こけたりなんかして遅くなるぜ」

「・・・ごめん」

「謝らなくたっていいって。俺が好きでやってることなんだから」

「・・・ごめん。あー謝ることしかできないw」

「だからー」

「ありがと」

やっと言える言葉を見つけて早口に告げた。

ふっ、とカキは笑った。

「お前は昔と変わんないな」

「お前こそ!」

本当に昔に帰ったみたいだ。