6月24日。 僕の家ではお母さんとお父さんが、せっせと何かの準備をしています。 たまにしか会えない佳代子叔母さんも来ているし、今まで一回しか会ったことのない健三叔父さんもいます。 みんな黒い礼服で、なんだかもの悲しい雰囲気です。 「純助……」 ぽつりと母が僕の名前をよびました。 「何?お母さん……」 そう言い掛けて僕は口をつむります。 お母さんには僕の姿も声も見えないし聞こえないのだから。