気になること。
そりゃあ依頼のことがあるから気になるんだけど、それだけじゃなくて……
「また、そんな顔して。ジュンは他人のことばっかだねー。」
「え、どういうこと?」
タクちゃんは「別に」とはぐらかして歩いていきます。
夕陽が落ちる間際の綺麗な空が僕は好きです。
少し紫がかったオレンジ。
あの空は死んでも変わらないんだなぁと思いました。
「あ、そだ。今日はシチューだって母ちゃん言ってたぜ。早く帰んなきゃな。」
にっ。と笑うタクちゃん。
そういえば僕はいったい何処に帰っているのでしょうか?
タクちゃんと一緒に帰っちゃってるけど……あれー?
「さぁ着いたぜ。ただいまーっ!」
木造の古い民家。
温かい茶色の壁。
黒い瓦がちょっとだけ欠けたりしている屋根。
今時珍しい井戸のあるタクちゃんの家。
「……って何してるのジュン?」
「へっ?」
「早く入ろう。」