タクちゃんが僕の席まで歩いてきます。

「何してんの?早く帰ろう?」

そう言ってタクちゃんが笑いました。

「あ、うん。」

僕はまだ出しっぱなしになっていた筆箱をカバンに詰めると、それを背負います。

そして暗くなった教室をタクちゃんと一緒に出ました。

部活動をしている子達しかいない学校はとても静かで、ちょっぴり寂しいです。

そして他愛もない話をしながら下駄箱まで来た時。

「あ、礼雄くん。」

ちょうど礼雄くんが下駄箱で靴を履き替えている所でした。

「……。」

礼雄くんはちらっとだけ僕を見ると何も言わずに去っていってしまいました。

「礼雄くん大丈夫だったのかな……」

「ん?なに、アイツ何かしたの?」

僕は帰りながらタクちゃんにタバコの話をしました。

「えぇっ!中学生がタバコって、そりゃ怒られるだろうよ。」

「うん、そうなんだけど……」

タクちゃんは凄く自然体。

良くも悪くも素直なんです。

「また他人の心配してジュンらしいけど、今回はアイツが完全に悪いよ。」

「うん……」

タクちゃんは僕の顔を覗き込んで言います。

「何か気になることでもあるんだ?」