それからしばらく僕は自分の席でぼーっとしていました。
教室にはもう誰もいません。
「…………。」
ゆっくりと太陽が傾いていきます。
赤い光が校庭を照らしていく、当たり前の光景。
僕はふと思うのです。
「僕いったい何処に帰ればいいんだろうか……」
そう、ここは僕の家からは離れているし、何より死んだはずの僕が家に戻るわけにはいきません。
帰る家がない?
そもそも帰る必要あるのかな?
天使になってからは食事も睡眠も特に必要なわけではないし。
このまま学校で過ごしても、姿を隠してたら平気なんじゃないのかな?
「……うん、そうしよう。」
僕は姿が消えるように念じます。