街を包み込んだ光が消えると、もう神様はいなくなっていました。
それに。
「あれ?僕、いつのまにか制服を着てる……」
「こらー新田。授業始まったのに廊下で何をしているんだー!」
教室から先生の声がして振り返ると皆が僕を見ていました。
「え、あ、はい。すいません。」
足を動かしてみると、ふわっと頭の中に何かが流れ込んできました。
僕はそれに身をゆだねます。
すると、初めての場所なのに、神様に用意された自分の席が分かりました。
恵ちゃんの隣。
教室の一番後ろ、廊下側から3番目。
机の上に置かれていた国語の教科書には「新田純助」とマジックで書かれていました。
「新田くん何してたの?」
そう言って恵ちゃんが笑いました。
新田純助という人物が確かにここにいるのだと実感した時。
熱い何かが瞳に沸き上がりました。
僕、ここ大河原中学校に転校しちゃいました。