由美さんの悪意の芽が消えて、白い羽が一枚落ちました。
「さっ、帰るわよ。」
「えっ、あの……羽は。」
鏡華さんは白い羽を拾わずに去っていきます。
僕は白い羽を拾って鏡華さんの後を追います。
「あなたたち、ありがとう。」
由美さんが言いました。
僕は本当に良かったと思います。
「さようなら有坂由美さん。」
にこっ。と笑う鏡華さんの顔が印象的でした。
今までに見た中で一番、優しい笑顔でした。
「鏡華さん、待ってくださいよ。」
「うるさいわね。何でついてくるのよ。」
ふわふわと夜空を飛んでいると、遠くから綺麗な鳥の鳴き声が聞こえた様な気がしました。
「鏡華さんありがとう。」
僕はそう言いました。
だって、本当にそう思ったんです。
「はぁ?なんであんたなんかにお礼言われなくちゃいけないのよ。」
「だって鏡華さんが居なかったら僕は由美さんを救えなかったから。だから……」