｢すいません、今手が離せませんので。｣

由美さんがドアを閉めようとすると、鏡華さんが手を無理矢理入れてそれを拒否しました。

｢ちょ、ちょっと待ってって。少し話だけでも、ね？｣

いや、もう何ていうか鏡華さんただのしつこい商品の勧誘ですよ。

｢もう、いい加減にしてください。警察呼びますよ！？｣

バタン。と大きな音がしてドアが閉められました。

鏡華さんは不満そうに唸っています。

｢何なのよもう。せっかく天使が悩みを解決してあげようって言うのに。｣

｢鏡華さん、あのー……｣

ぷんすかしている鏡華さんに話し掛けるのは凄く勇気がいりました。

｢あ、あんた居たの？なかなか手のかかるターゲットみたいだから、せいぜいあんたも頑張るのね。｣

そう言って鏡華さんは空を飛んで何処かへ行ってしまいました。

｢……さてと。｣

僕は深呼吸をして、由美さんの部屋のベルを鳴らしました。