小さな薬局に入っていく女性。
僕は姿を現して薬局へと入ります。
「あら、ぼうや、いらっしゃい。」
中に居たのは優しそうなおばあさんでした。
腰は曲がっていて、眼鏡をかけているけど、僕の顔はあまりよく見えていない様です。
「……由美さんは。」
店内を見回すと由美さんの姿がありました。
風邪薬を選んでいるようです。
「……こっち。いや、こっちかな。」
由美さんは可愛いキャラクターの描かれた小児用の風邪薬を選んでいます。
「……あ、高いな。こっち、でいいかな?」
最終的に由美さんは一番安くて、一番数の少ない風邪薬をカゴに入れました。
由美さんはとても暗い顔をしていました。
「いつも、ありがとうね。」
おばあさんが笑顔でそう言うと由美さんは小さくお辞儀をしました。
そして、お金を払おうとした時のことです。
ピラッ。と一枚何かが落ちました。
おばあさんも由美さんもそれに気付かないまま、由美さんは薬局を出ていってしまいました。