その翌々日。

ふと気になってスーパーを覗いてみると、仲良く手をつなぐ親子の姿がありました。

「ママー。チョコ食べたいよぉ。」

お菓子売場で小さな女の子がママにそう言いました。

とみ子さんはじっとそのチョコを見つめます。

今はまわりにダレも居ません。

見ているのは娘だけ。

「…………。」

とみ子さんは哀しげに笑い言いました。

「ごめんね。今はお金がないの。また今度パパと一緒に来た時に買ってもらおうね。」

「はぁい。」

罪を犯そうとした手を引っ込めて、とみ子さんは娘の小さな手を握りました。

悪意の芽がゆっくり散って、美味しいチョコの棚の下に白い羽が落ちたのです。

「良かったとみ子さんも娘さんも幸せそうで。」

僕は七枚目の羽を背中につけ、スーパーを後にしたのでした。