「はぁ、はぁはぁ。や、やめてくださーい!!」

僕はその女性の手を掴みました。

「な、何をするのよ坊や。」

ここはスーパーのお菓子売り場。

48歳の中山とみ子さんは万引きの常習者でした。

「お会計もしていないのにバックに入れてどうするんですか?」

とみ子さんは僕を睨み付けます。

顔を真っ赤にして怒っています。

「……なんなの?人を万引きしてるみたいに言って、私がバックに入れて持ち帰った?まだスーパーの中じゃない。ふん!」

とみ子さんの大声に店内の人が集まってきました。

とみ子さんは僕の手を振りほどいて、バックに入れようとしていたチョコを乱暴に棚に戻すと出ていきました。

まだとみ子さんの悪意の芽は消えていません。

僕は追い掛けます。